京都の夏に乾杯♬「用賀 本城」
2013年 8 月11日(日)
今年の夏は暑い。繰り返すと鬱陶しいけれど、暑い。殺人的に暑い。最高気温25度超えを夏日、30度で真夏日、35度を猛暑日と呼ぶ。最低気温が25度以上で熱帯夜、だったら30度を超える夜は何て呼ぶんだ!と誰かに訴えたくなる。ヒートアイランド現象により気温が上がる東京の夏も暑いけれど、盆地の京都は昔から暑い。だからこそ、町家では夏の設いとして襖や障子を簾に衣替えしたり、料理屋では川床などで工夫してきた。暑さを凌ぐ生活の知恵。京都の雅。それに加え、鱧など夏の京都ならではの味がある。そんな京都の夏の味を楽しみたい。ということで、京都に行ってきた。
お気楽夫婦の愛する京都は、世田谷の用賀にある。「用賀 本城」という京料理の店。開店して4年。用賀の街並にもすっかり馴染み、予約が取れない人気の店になった。「8月はそんなでもないんですよ。今だったらカウンタ7席までご用意できます」予約の電話に応える奥さまに、カウンタ7席しかないじゃないですか!と笑い返す。当日、妻より一足先に店に着き、ビールを飲みながら本城さんの手さばきを飽きず眺める。「今日はどうしましょう」という問いに、鮎を食べに来たと答えると、「小振りのやつ、2匹づつ取っときましょう」と小気味好く返される。後は本城さんにお任せ。
「白海老、お2人分ありました」先客の刺身の盛合せの中にあった白海老に、良いですねと思わず呟いた私のことばを拾った本城さんがニコッと笑う。白海老にキャビアを載せたあしらい。とろりとした舌触りに上品な甘さ、キャビアとの組合せが美味しい。涼しげなガラスの器に注いだ日本酒をぐびり。実に幸せである。そして待望の鮎の塩焼き。美しく焼き上げられた若鮎を頭からかじる。香ばしさと苦みと淡白な身が口の中で跳ねる。くぅ〜っ、夏の味。京都の夏を丸かじり。山椒を飾った鱧鮨も美味しい京の夏の一品。大皿に一緒に添えられた焼き無花果の香りも夏。
シメは鰻の柳川。丸のままの鰻が土鍋の中でぐつぐつと踊る。京料理の名店「たん熊北店」出身の本城さん。丸鍋(すっぽんの鍋)も得意料理。濃厚なのに繊細な味が共通、かつエネルギーの塊のような夏の鰻は目でも舌でも元気になる。店もいつの間にか満席。予約では全席埋まっていなかったというが、さすが夏でも元気な人気店。「先日、鮎料理のコースを頂いてきたんです」と本城さん。「京亭」という寄居の名店だという。その店も良いけど、本城さんの店で鮎尽くしできませんかと尋ねると、「いけますよ」と即答。おぉ〜っ、ではぜひ次回に!これで京都の秋の味も堪能できる。
「やっぱり本城さんは良いねぇ。月に1回は無理でも、季節毎に伺いたい店だよねぇ」妻の呟きに頷く。次は秋の鮎尽くし。今から次回の訪問が楽しみだ。
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