いつもの宿で、新たな店で「2015年」
2015年 1 月04日(日)
1年の掉尾を飾るのは、義父母との温泉旅行。年末年始を過ごす妻の故郷浜松で、ここ数年は同じ宿に泊まっている。年に一度、義父母が楽しみにしている唯一の贅沢。幹事体質の私も、この企画だけは自己主張は一切せず、ただただ温泉に身体を浸す。そんないつもの滞在に、今年はちょっとした変化があった。川崎在住のびぢんランナーmiyaさんの情報によると、宿のある舘山寺温泉街に有名な和スイーツがあるらしい。宿泊当日、下見を兼ねた散歩。店に立ち寄り情報を得る。お目当ては「いちごの雫」という人気の一品。毎日1,000ヶ以上製造し、1人50ヶまでと制限を付けてはいるが、その日は開店30分で完売したという。ふ〜む。翌日の開店を目指して再度訪問してみようか。
「しず花」というその和菓子処に、9時の開店前に行列ができている。うむむ。ちょっと無理か。すると、行列を仕切っている風情の白髪ポニーテールおやぢが寄って来て、「何個欲しいの。店に言っとくから」と尋ねてくる。どうやら店の人ではなさそうな、微妙な雰囲気。では16個と控えめに答える妻。「大丈夫だって、残り36個だってさ。あんたは何個」後ろに並んだ客が、じゃあと36個と答えると、「はい、9時10分で今日は完売ね」と仕切りおやぢが誇らしげに宣言する。ふぅ。薄氷の勝利。さっそく包みを開け、いただいてみる。フレッシュなイチゴに淡く餡を纏わせ、花びら餅で包んである。ひと口齧ると、イチゴの香りと甘みが倍加され口中一杯に拡がる。これは旨いっ♬何個でも食べられそう。miyaさんに感謝しつつ、2個目をいただく。幸福の味。
新年を迎え、元旦に2年ぶりにいただいたのは「割烹 弁いち」さんのおせち料理。去年はご主人の急病で、予約は全てキャンセルさせていただくと連絡があった。毎年楽しみにしていた弁いちさんのおせち料理を、残念ながら前年は味わえなかった。“いつも通り”が貴重で、あり難いんだと実感した昨年末。だからこそ、2年分の絶品おせち料理を堪能する。“いつも”というのは、“永遠”ということではないんだと自戒を込めて噛みしめる。それにしても旨い。一品一品、作っている過程をfacebookにアップしていたご主人。代金以上の手間ひまが掛っているのだなぁと、さらに深き味わいを愉しむ。そして雑煮は初の白味噌味にチャレンジ。及第点だけれども、まだまだ鍛錬が必要。
浜松滞在最終日、「新東名にでも行ってみるぅ?」と義母。疑問形の発言は、実は「新東名に是非とも行こうよ!」という積極的なものなのである。こんな表現傾向は妻と一緒。そんな時のムコ殿の役目はと言えば、良いですねぇ、行きましょう!サービスエリアにいろいろ美味しい食べ物があるんですよねと、家族皆をポジティブモードにすること。「浜松餃子とか、お寿司もあったかねぇ」と、それでも謙遜モードの義母。行ってはみたものの、こんな程度かと思われては残念という心情。良く分かる。だからこそ、ムコ殿は6割増しぐらいで良い施設ですよねぇ〜と喜び、浜松餃子もシラスと桜エビ丼もホントに旨いと繰り返す。ここ大事(笑)。実際、とてもおいしかったし。
「お疲れさまでしたぁ、乾杯〜っ♬」帰路、新幹線の車内でいつもの2人宴会。ふぅ〜っ。ムコ殿の役割も無事に終わった。一人娘の妻が芯からリラックスできるよう、口数の少ない義父母が娘との時間を楽しめるよう(分り難いけど)、私なりに精一杯心を砕いた。心地良い疲れが身体中に広がる。スパークリングワインのミニボトルを空け、白ワインのミニボトルも残り少ない。新幹線の揺れに合わせ、軽い酔いに身を委ねる。こうして2015年がいつものように始った。“いつも通り”がありがたい、今年もそんな気持を噛みしめながら。