絶品♡小龍包「京鼎樓 恵比寿本店」

京鼎樓入口京鼎楼看板10年程前、上海を旅した際に小龍包に目覚めた妻。豫園の「南翔饅頭店」を訪ね、その絶品の味に魅せられた。千切りの生姜をレンゲに乗せ、慎重に小龍包をつまみ、黒酢に少しだけ浸し、レンゲの生姜と合流させる。横向きにした小龍包の端を齧る。ちゅっとひと口スープを啜る。上海がにの蟹味噌入りの濃厚なスープが口中に広がり、妻の瞳は幸せ色に輝いた。「美味しいんだねぇ♫小龍包って、こんなに美味しいって知らなかったぁ」それ以降、中華料理店のメニューに小龍包があれば必ずオーダー。けれど、皮が破れていたり、スープに力が足りなかったり、そこそこの味に出会うことはあっても、あの感動は蘇らなかった。六本木ヒルズの姉妹店、南翔饅頭店などは、期待が大きかっただけに、食べた時の失望も大きかった。けれど懲りずにいろいろな店で食べ続けてきた。

皮蛋豆腐腸詰めんな小龍包好きのお気楽夫婦が気になっている店があった。恵比寿駅東口を出ると、目の前にそのビルはある。QUIZ恵比寿というこじゃれたビルの2階(表記は2階だけど、構造上の問題のようで、見た目は1階)。小龍包で有名な「京鼎樓(ジンディンロウ)」という台北にある店の支店。台北では、鼎泰豊(ディンタイフォン)と並び称される店。日本国内で展開する鼎泰豊は、髙島屋のグループ会社が経営し、今や国内に10店舗。第1号店の新宿髙島屋で並んで食べた頃の希少性がなくなり、今でもきちんと美味しいけれど、ありがた味が薄れてしまった。チェーン店化の弊害。京鼎樓は、国内に4店舗。多店舗展開の気配があるから、今のうちに!と思っていたが、訪れる機会がなかった。

絶品の小籠包豆苗炒める週末、恵比寿を通って自宅に戻る途中に、ぴぴっときた。京鼎樓に行くチャンス。すかさず仕事中の妻にメール。今日は恵比寿で小龍包を食べて帰らない?「OK!30分ぐらいで出られるよ」と妻からの返信。グッタイミング!改札で妻と合流し店に向かう。外からガラス越しに厨房が見え、小龍包を蒸している湯気が上がってる。ふんふん、いい雰囲気だ。店に入ると、ちょっと早めの時間ということもあり客はまばら。けれどテーブルは予約でいっぱいで、カウンタしか空いていないとのこと。バーカウンタ、その奥には厨房。良いですよ。すかさず、腸詰め、皮蛋豆腐などと一緒に小龍包をオーダー。手際良く、次々に料理が出てくる。ケーキのように美しい皮蛋豆腐。見た目だけではなく、味もよろしい。

にこやかな厨房して肝心の小龍包が登場。繊細な皮を箸でこわごわとつまむ。ぷにゅんとしながらも破れない。スープが透けて見えるほどの薄さなのに。ふぅむ。ここまでは良い感じだぞ。れんげに乗せて、ちゅっと熱々のスープを啜る。妻の目が輝く。黒酢を付けた生姜を乗せて、ぱくり。「うん、久しぶりにかなり美味しいよ♬」確かに旨い。濃厚で香り高く、上品なスープが2人の味蕾を刺激する。「良いねぇ〜♡」いつもはリアクションの薄い妻に笑みが零れる。「追加しちゃおうか♪」すかさず蟹肉入りの小龍包をオーダー。これまた良いリズムで厨房から蒸篭がやってくる。「うんまぁ〜いねぇ」確かに、これは絶品、幸せの味。2人の好みの味だ。いつの間にか店内は満席。なるほどね。店頭で席が空くのを待つ客が増え始めた頃、席を立つ。幸せの味は共有しなければ。

り際、厨房にi−Phoneを向けると、厨房のシェフが柔らかく微笑み、蒸篭から流れ出す湯気と共にポーズを取ってくれた。「また来なくちゃね」と妻も満足げ。はい。また伺いますとも。

妻のいぬ間に…「ふふふふふ♡」

シウマイ弁当&特撰シウマイ曜日の夜、妻から急な残業で遅くなるとの連絡。あっそう、分かった。じゃあ、自分で何か買って食べるか、誰かを誘って飲みに行くよ。はぁ〜い、そこそこ頑張ってね。と、電話を切る。…ふふふふふ。チャァンスッ!誰と、どこに行こうか。何を食べようか。妻との電話を切った後に、すかさず電話帳やメールアドレスを検索。もちろん女子限定。う〜む、恵比寿辺りか、青山か。それとも中目黒も良いかなぁ。…オチャメな頃の私なら、迷わずそうしていた。そう、迷うことなく。

特撰シウマイころが、ところが、である。渋谷駅のコンコースを横切った時に私の目に入ったのは、崎陽軒のシウマイ弁当。その隣に、横濱名物特撰シウマイも。思わず立ち止まってしまった。そして、ほんの瞬間の逡巡の後、買ってしまった。それも、シウマイ弁当と横濱名物特撰シウマイの両方とも。それも、口の端に笑みさえも浮かべながら。ふふふふふふ。ゼータクにも両方買っちまったぜ。などと心の中で呟きながら。

いっただきまぁす♡は、冷たいシウマイに興味を示さない。今夜がチャンスだったんだ。これを逃す手はなかったんだ。そう自分に言い聞かせる。自分の選択は間違っていなかったと。決して草食系になったわけではないと。なにしろ、特撰シウマイはでかい、旨い。シウマイの上にカラシを乗せて、ひょうちゃんの醤油をかける。ひと口でぱくり。旨い。歯応えとジュワッと広がる甘さがたまらない。マグロの照り焼き、タケノコ。これだよなぁ。実に旨い。ふふふふふふ。独り笑顔で頬張る。ふぅ。満足の夕餉。

から電話。あ、そう。終わったの。お疲れさま。うん、こっちは弁当食べた。えっ?何で分かるの?シウマイ弁当って言った?

20年間で一番!「用賀 本城」にて

スライド1の娘と初めて会ったのは、彼女のヴァイオリンの稽古の帰り。父親が運転する車の後部座席で、ヴァイオリンケースを抱えるように眠っていた。ヴァイオリンケースの方が大きく見えるぐらいの、小さな小さな女の子だった。その数年後、初めて彼女と一緒に食事をしたのは、なんとパリ。お気楽夫婦が滞在していたセーヌ左岸のホテルを訪ねてくれた彼女の両親と一緒に、5人でストラズブール・サン・ドニの「ブラッスリーFLO」に向かった。彼女は、父親が運転するワゴンのバゲージスペースで、何やら一所懸命に絵を描いている。ブラッスリーの前に到着すると、何やら恥ずかしそうに母親にノートを差し出す。そして「これプレゼントなんだってぇ」と母親経由で妻の手に渡ったイラストは、妻の似顔絵だった。「わぁ〜、どうもありがとう♡」喜ぶ妻。はにかむ彼女。微笑ましい風景だった。

雲丹の一皿酒肴の一皿れから10年余り。ある週末、彼女と彼女の母である高級住宅街に住むスカッシュ仲間と共に4人で「用賀 本城」に向かった。その日は彼女の20歳のお祝い。一緒に美味しい料理を食べ、美味しい酒を飲みたかった。子供のいないお気楽夫婦にとって彼女は姪っ子のようなもの。嬉しい成人のお祝いだ。カウンタに座り、本城さんに20歳のお祝いだと告げると「それはおめでとうございます。ところで、どちらがお嬢さんですか」などと、お約束の突っ込み。「いやぁだぁ〜」と言いながらも満更でもない母。まずは、ビールとお茶を…「私、ビールは苦手なんですけど、お酒を燗でいただいて良いですか」ほほぉ。良いよ、頼もしいね。「私、ちゃんと空気読んでますか。大丈夫ですか」OK、OK。それでは、20歳おめでとう!とビールと、お茶と、燗酒で乾杯。

ふぐごはんずは、前菜。相変わらず絶妙な食材の組合せの一鉢。「わぁ〜っ、美味しいぃ♫これ好き♡」「ほんと、これ美味しいね」同じテンションで喜ぶ母娘。そして、酒肴の盛り合せの一皿。「これ、凄いね。ほんと美味しいわ。京都になんか行かなくても、こっちの方が美味しい」お祝いのふぐの白子ごはんが登場。「こんな美味しいもの食べたことない。20年間で1番美味しいかも」母娘がお互いに目を見交わし、微笑む。でも、いつも美味しいもの食べてるじゃないか。と思いながらも、2人のリアクションが嬉しい。お気に入りの店を誉められて嬉しくないわけがない。そうなのだ。この2人は、良く似ている。気持を表に出し、衒いのない表現で相手の気持を柔らかく、温かくしてくれる。2人で仲良く話をしている姿は、本城さんではないけれど、母娘というよりは姉妹のよう。羨ましい眺めだ。

ふぐの皮れ、お誕生日とバレンタインのプレゼントです」そう言って差し出してくれたチョコレート。ギフト上手も母娘はそっくり。母はと言えば、バレンタイン当日にサンタクロースのように大きなバッグを背負いコートサイドに現れ、スカッシュ仲間たちにROYSのマシュマロチョコを配っていた。「まとめて通販で買ったんだ」結構な出費のはず。でも、それが決して嫌みにならない。「ママと何でも話せるし、友だちはウチの両親は羨ましいって言ってくれるよ」…そんなことを思っていても、20歳の頃には口に出せなかった。ことばで伝えたかったし、伝えられた方も嬉しいはず。ほんとに良い母娘だね。「うん、いろいろあったけど、良かったよ」思春期のちょっとした反抗期も、どうにか無事に乗り越えた。けれど、その最中の母の心配は並大抵ではなかった。「あの頃の自分は、思い出す度に恥ずかしいです」ふふ。派手な化粧だったし、髪型だったね。でも、コチラに帰って来て良かったね。

味しかったぁ」「ホントに美味しかったです。ごちそうさまでした」はい。ホントに良い娘になったね。「ありがとうございます。そんなこと言われると泣いちゃいそうです」タクシーに乗り込むお気楽夫婦。母娘はお迎え役の父の車を待つ。あれっ!窓の外を眺めると、手を振り、ニコニコと笑いながら母娘が走り出した。タクシーと並んで走る、走る。思わず大笑いのお気楽夫婦。良い娘だ、そして良い母親だ。「なんだか、ずっと友だちでいたいよね」妻が微笑み、呟いた。

■お気楽夫婦の御用達 「用賀 本城」

002319443

SINCE 1.May 2005