酔っ払い双六「ビストロ808 vol.20」

Bistoro808-1Bistoro808-2度のビストロ808、ワインを宅急便で送っていいですか?」記念すべき20回目の「ビストロ808」のゲストは常連のI葉夫妻、そしてスカッシュ仲間の酒豪奥様たち。お気楽妻は飲まないから、せいぜい6本くらいのワインが届くのかと思っていた。ん?重いぞ。と、開けてびっくり。10本ものワインが入っていた。それも全部白ワイン。「今回のワインのテーマは、シャルドネ以外の全部制覇!なんです」飲めばサダコと化すI葉妻、ただの酔っ払いかと思えば、実はオランダ駐在時代はワインショップで仕事をしていたという筋金入りのワイン好き。夫婦2人で飲むワインの量も生半可ではない。そんな彼らの選んだワインラインナップは、白ワイン好きとしてはかなり嬉しいぞっ♫

Bistoro808-3Bistoro808-4招きありがとうございまぁす♪」乾杯をしたのは、まだ明るい時間。早くウチに帰れるということではなく、早くから長く飲めるとノンベたちが設定した時間。とは言え、まだ皆んな1本目くらいまでは上品な奥さまの風情。まずはオードブル盛合せからスタート。今回の新作はとうもろこしのムース。師匠のシェフ「ビストロトロワキャール」の聡ちゃんが作ったモノが余りに余りにも美味しかったので、再現は無理でも作ってみたかった。「うわぁ〜!おいしぃ♡とうもろこしの甘さが自然でいいね」うん、よかった。試作を何度か繰り返し、スーシェフのOKが出た苦心の作だ。ちなみに、なぜか味見をして客に出せるかどうかはスーシェフ(妻)が決定権を持っている。

Bistoro808-5Bistoro808-6バのリエットおいしぃ!作り方教えて!」と、I葉妻。ん?デジャビュ。常連の彼女には前もレシピを伝えたはずだけど、最後はいつもサダコだから、きっと記憶にないんだろうなぁ。と、サバ缶を使った簡単レシピを伝授。「生ハムとブルーチーズとフルーツって合うねぇ」ネクタリンを使ったサラダも好評。順調にワインも空になっていく。メインを出す前に、追加のパテ食べる?と聞くと「はいっ!」と全員が一斉に手を挙げる。またも美味しいと満面の笑顔になり、さらに美味しいと何度も何度も繰り返す。その生態は同じ酔っ払いとして理解できる(笑)。話題もあちこちに飛び、その度に笑いが弾ける。皆んな食いしん坊で明るい酔っ払いだ。

Bistoro808-7Bistoro808-8インのローストビーフです!」I葉夫が得意そうに皿を持っているのは、その日唯一スーシェフが作った肉料理。合わせるのはシェフの作った4種のベリーを使ったベリーベリーソース。この頃になると空いたワインのボトルは軽く半ダースを超え、“あいつ”の登場が近い気配が感じられる。酔っ払いたち(自分も含む)は既にかなりご機嫌で、飲む→食べる→笑う→ふりだしに戻る→飲む→食べる→さらに飲む→酔うという「酔っ払い双六」で順調にコマを進め、上がり(または1回休み)に向かっている。酒豪の奥さまたちからは、遠慮とか、おすまし、という表情がすっかり消え去り、生き生きとした“私はご機嫌な酔っ払いだぁ”という顔になっている。あ、またグラスが倒れた!

Bistoro808-9Bistoro808-10日はダイジョーブです!絶対、寝ません!」空のワインボトルが9本を超えた頃、あいつがやって来た。不思議なことに、大丈夫と言った直後に、あいつは突然やって来る。燃え尽きる前のロウソクがフッと明るくなる、そんな感じ。現れたのは、いつも通りのサダコだ。この日はダイニングテーブルに突っ伏し、顔が多少見えてはいるから真性サダコとは言い難いが、周囲が警戒しつつも登場を楽しみに待っている気配もある人気者(笑)が現れ、宴の終わりを感じる一抹の寂しさも味わう。きっと彼女は全力で飲み、全力で楽しみ、力尽きるのだろう。燃え尽きた彼女を労わるでもなく、証拠写真を撮るダンナと仲間たち。双六の“あがり”、サダコは1回休みでゲームセット。

日はごちそうさまでした。千夏ちゃんの結婚式の映像みたかった〜」「えっ!繰り返して2度見てたよ!」「覚えてない〜」「私もどうやって帰ったか記憶にない!」翌日、ビールを数本飲んだ後、9本半のワインを飲んだ酔っ払いたちと、唯一素面のお気楽妻の間でメッセージが交わされる。ゲストに何を食べてもらおうかと楽しみ、飲んで食べて愉しく、楽しく酔っ払った(恥ずかしい)記憶を味わう、1度で3回味わえる楽しさ。これだからビストロ開店は止められない。次回開店は、きっと秋。さて、どなたをお招きして、どんな料理を作ろうか。

Happy Wedding!「プロスカッシュプレーヤー松井千夏」

Chinatsu1Chinatsu2のスカッシュ人生の前半は、皆さんと一緒に過ごした用賀のクラブでした」千夏ちゃんの挨拶は、そう始まった。大勢の招待客を招いた結婚式と披露宴の翌週末に、プロスカッシュプレーヤー松井千夏の結婚を祝うささやかなパーティが開催された。彼女の挨拶通り、日本スカッシュの広告塔として長く活躍してきた松井千夏のスカッシュの原点であり、学生時代から初めて全日本を制した頃まで、彼女のホームコートだったクラブで共にスカッシュをプレーした仲間たちが集まった。披露宴での笑顔も美しかったけれど、その日の新婦はリラックスした実にいい顔をしていた。「千夏もオトナになったな」そんな軽口も飛び出す和やかな会に、新郎の清水くんもすぐに溶け込んだ。

Chinatsu3Chinatsu42001年夏、お気楽夫婦は千夏ちゃんと共に香港にいた。香港に長期滞在しトレーニングを積んでいた彼女が出場した香港OPENを観戦(残念ながら本戦に出られなかった彼女の試合は観られなかったけれど)し、一緒に食事をした。当時の千夏ちゃんにはマンゴーブームが訪れており、メインの料理よりもデザートのマンゴープリンに目を輝かせていた。その年の秋、全日本スカッシュ選手権で初優勝。当時、最年少でのチャンピオンだった。その後、長く師弟として共に歩んできた山崎コーチ(お気楽夫婦のコーチでもある)の元を離れ、現在の所属チームで全日本通算4回優勝、ファイナリストになること12回、日本を代表するプレーヤーとなり、マスコミにも多く登場した。

Chinatsu5Chinatsu6女はコートの中でずっと輝いていた。いつも真剣な目でボールを追っていた。その美しいフォームはエンジョイスカッシュプレーヤーであるお気楽夫婦の憧れだった。松井千夏は、スカッシュを愛し、楽しんでいることが周囲に伝わるプレーヤーだった。マスコミに登場しアイドル的なアスリートとして取り上げられたのも、自己顕示のためではなく、スカッシュを一人でも多くの人に知ってもらうため、興味を持ってもらうためだった。山崎コーチから離れてしばらくは、会う機会も減ってしまった期間があったけれど、お気楽夫婦はずっと彼女のファンとして応援し続けて来た。とは言え、せいぜい試合の応援をしたり、一緒に美味しいモノを食べに出かけるくらいのもの。

Chinatsu7Chinatsu8報告と相談があるんですが、ご都合いかがですか」そんなお気楽夫婦に千夏ちゃんからメッセージが届いたのは冬の終わり頃。すると、この夏に結婚するので式に出席して欲しいという嬉しい報告と(フラワーコーディネーターのスカッシュ仲間に)パーティ用のブーケを作って欲しいとの依頼だった。喜んで!と乾杯し、お祝いにフカヒレをしこたま食べた。そして初夏の頃、婚約を祝って「ビストロ808」にご招待。たまたまその直前に彼女のブログで結婚を発表したばかりというタイミング。ネットで「スカッシュ界のマドンナ結婚!」と大きく報道され、我が家の前では見知らぬ人から「スカッシュの人だ!」と言われたという。改めて彼女の果たして来た役割を実感。

Chinatsu9Chinatsu10婚式当日、千夏ちゃんのドレスと共に、お気楽夫婦はブーケに注目し続けた。白のドレスにはカサブランカ、ティファニーブルーのドレスにはスカッシュラケットのブーケ。ドレスに良く映えて素晴らしい出来だ。隣に座るスカッシュ仲間もホッとした様子でワインを飲み干す。他のクラブのメンバーが作ったスカッシュボールを模した胸章や、2人の似顔絵イラストなど、細部まで心配りとアイディアが溢れ、豪華な会場の中にも手作りの温かさが感じられる良いパーティだった。千夏ちゃんも終始“公の笑顔”が素晴らしく美しく、スポンサー企業の方々も出席する中、いい意味でプロとしての自覚を持った花嫁の佇まいだった。

ロスカッシュプレーヤー松井千夏は、新たなステージに立った。結婚を機に、良き家庭を築く為に互いに支え合い、可能な限り試合に出続けると思う。スカッシュに関わり続けると思う。千夏ちゃんに試合で勝利する女子選手は現れたけれど、彼女のようにNEWSになる存在は現れてはいない。スカッシュの魅力をより多くの人に伝え、後に続くプレーヤーの目標となり、憧れの存在になる。彼女の役割はまだまだ残っている。お気楽夫婦は、そんな松井千夏を応援し続けます♡

美味の宿「TOBEオーベルジュリゾート」

Auberge1Auberge2Auberge3ーベルジュとは、宿泊することができるレストラン。すなわち、食がメインの宿泊施設。けれど、「TOBEオーベルジュリゾート」は、オーナーの越智さんがブライダル業からスタートした経歴の持主ということもあり、その施設はオーベルジュの範疇に収まらない。レストランやフロントがあるメイン棟の上階には、驚きのブライダル施設があった。敷地の高低差を利用し、湖を見下ろす絶景の式場、2つのパーティ会場が見事に配されている。「ここでパーティやりたい!」妻が思わずため息をついた。パーティ会場のデッキからは噴水が目前に眺められ、春には桜色に溢れたスペースになるらしい。ん、パーティやりたいね!

Auberge4Auberge5Auberge6ーベルジュリゾートの顔、レストランも絶景。湖に面した場所にカウンター席とオープンキッチンを配し、料理人の仕事と湖を共に眺めることができるレイアウト。案内された中央のカウンター席に座ると、目の前に噴水という絶好のロケーションだ。そこに「本日の食材をご案内させていただきます」と、目の前に登場したのはアコウ(キジハタ)や、アワビ、伊予牛など、愛媛自慢の野菜や魚介オールスターズ。新鮮な野菜も元気そうで、見た目に力強さがある。開演前の舞台挨拶で、役者たちをひと通り眺める気分。これらが果たしてどんな形で供されるのか。食事を始める前のワクワク感が増し、期待が高まる演出だ。

Auberge7Auberge8Auberge10べることがリゾート滞在の主題、すなわち“ハレの食事”の演出は料理の盛付け、皿の選択にも施されていた。料理を目で楽しみ、味わって楽しみ、空間を味わい、会話を味わい、時間を慈しむ。アミューズのトマト、続くアワビも満足の味。そして大皿に盛り付けられた愛媛の山海オールスターズは、それぞれが絶妙なポジションに配され、柑橘系のソースを纏って登場。食材の味を引き出すために、塩味は抑え目。飲んべの私にはやや物足りず、飲まない妻にとっては絶妙な塩加減の模様。この前菜がこの店のウリとのことだが、好き嫌いが分かれる皿かもしれない。魚、牛とメインの料理も見目麗しく、美味しい皿が続く。

Auberge13Auberge14Auberge15ザートは愛媛の柑橘類をふんだんに使った一品。どこまでも愛媛LOVE♡。満足感を抱えて部屋に戻ると、ダイニングテーブルの上に、何やらメッセージとフルーツを持った皿がのっている。メッセージは手書きで、“夜食”を用意したとある。ん?見ればヒノキで出来た二段の長い箱がある。開けてみると、小さな手毬寿司のようなプチおにぎりが2ケ、小鉢と一緒にちんまりと収まっている。何種かのフルーツは氷で冷やされ、きちんとフルーツナイフが添えてある。日本旅館のようなおもてなしに感激。冷蔵庫に入っていた白ワインのハーフボトルを開け、心尽くしに感謝しつつ、妻と乾杯。実にいい宿だ。

Auberge16Auberge17Auberge18食は昨夜と同様にレストランのカウンター席で。爽やかな朝の空気の中で、まずはフレッシュなジュースをグビリ。野菜サラダをパクリ。んまい。目の前で焼いた何種類かの野菜、ソーセージの盛合せをいただく。さらにはデザートに桃のコンポート。どれもがカウンタの向こうの調理スタッフから供される。このライブ感溢れる朝食コースはすごい。ゼータク。小さな規模のホテルだからこそ可能なサービス。美景の宿「TOBEオーベルジュリゾート」は、期待通りに、そしてオーベルジュの名前の通りに美味の宿でもあった。 *オーナーの越智さん、お世話になりました。またぜひ伺います!

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SINCE 1.May 2005