この場所で♡「Park Hyatt Tokyo / New York Bar」

ParkHyatt2000年10月20日、お気楽夫婦はこの場所で正式に結婚生活をスタートした。オトナの事情で入籍できないことを知っていた友人たちは、(やっとか!と)喜んで集まってくれた。会場に選んだホテルは、2人にとって大切な場所だった。何か良いことがあった時、最上階にあるバーで乾杯をした。遠くに旅行ができず、それでも旅の気分を味わいたい時に、ゼータク気分でこのホテルに宿泊した。いわば2人のハレの場所だった。そのホテル、パークハイアット東京が開業した年、1994年から2人で一緒に住み始め、すでに6年以上経っていた。開業早々に訪れたバーでは混乱を極めていた。おそらく世界各地からやって来た応援のスタッフの数だけはたくさんいるのに、リレーションが上手くいかず、オーダーしたドリンクがなかなかやって来なかった。気だけ焦ったスタッフがオタオタとしていた。ちょうどその頃の2人のように。

ParkHyatt2NYバーに向かうルートは複雑。エレベータを降り、写真パネルが印象的なジランドールを横目に、絶妙な配置の照明が美しいライブラリーを通り、最上階に向かうエレベータに乗り換える。この時点で、既にワクワク感がかなり高まっている。そして52階に到着し、エレベータを降りる瞬間が、最初に訪れた時からずっと好きだった。仄暗い照明の向こうに、室内の照明より明るく輝く高層ビル群の夜景が足元に広がり、そのまますぅ〜っと空中を浮遊して歩いて行けそうな空間に足を踏み出す。「ご利用はバーですか、レストランですか」とスタッフに尋ねられるまで、足元の眺めに見とれ、立ち止まってしまう。これは毎回のこと。バーの利用だと告げ、案内された席はピアノのすぐ後ろ、都心のスカイスクレーパーを従える、窓際の絶好のポジション。煌めく景色を眺めながら、あの日にもこんな夜景を見せたかったねと語り合う。

ParkHyatt315年前のパーティの夜は雨だった。雨に煙る摩天楼…どころか、パーティ会場から外の景色は全く見えなかった。せっかく夜景を楽しんでもらおうと、窓のある宴会場にしたのに。それが唯一の心残り。それ以外はとても温かく、友人たちだけの(来賓や友人の挨拶もない)こぢんまりとしてリラックスした、料理もお酒も(ずっとシャンパンを飲み続けた友人たち)申し分のない、ずっと記憶に残る、嬉しいパーティだった。そんなことを思い出しながら、記念すべき結婚生活スタートの場所で、2人で乾杯。この店は2次会で来たんだった、大勢でピアノの近くの席に陣取って、誰かがお祝いの曲をリクエストして、などと15年前の記憶が蘇る。その日もジャズトリオがスタンダードナンバーを奏で、女性ヴォーカルが軽やかに歌う。周囲を見回すと、ほとんど日本人(アジア系)客の姿はなく、店名の通りNYCのバーにいるような錯覚に陥る。

ParkHyatt5NYバーが、やっぱり一番好きなバーかな」そんなゼータクなことを呟きながら、お気楽妻が穏やかに微笑む。ライブが終わっても、適度にザワザワとした空気が残り、イケメン揃いのスタッフたちがテーブルの間を流れるように動き、実に絶妙なタイミングで、嫌味なくドリンクのお代わりを勧めてくれる。高級ホテルのサービスにありがちな慇懃無礼な態度はなく、言葉遣いも適度にフレンドリー。妻はこの距離感が心地良いのだと言う。当然のことながら、開業早々のばたつき感はなく、(上から目線で恐縮ながら)落ち着いた良いバーになった。21年の歳月がお気楽夫婦にも同じように流れ、当時のバタバタ(あったのだ)はなく、穏やかに乾杯できる関係になった。周囲の人たちに心配と迷惑を掛け、何を失っても良いなどと嘯いていた。若かったのだ。そんなかつての自分たちを、温かい目で眺められるようになった2人。

生日はやっぱりパークハイアットが良いかな」毎年(私の!)誕生日に、お祝いと称して友人たちを招き、都内のホテルに宿泊するのが恒例になった。来年のターゲットは、確か大手町に開業したアジア系ラグジュアリーホテルを狙っていたはずが、久しぶりにこのお気に入りホテルの魅力に触れ、どうやら惚れ直したらしい。まぁ、それも良し。来年の誕生日は、2人のスタート地点のこの場所で♬

中華三昧の日々は愉し♬「第三夜:萬来軒」

Banraiken1Banraiken3華三昧の日々の掉尾を飾る店「萬来軒」は、ずいぶん前から予約をしていた。お気楽夫婦が住む世田谷の端っこの街の、見た目はそっけない中華料理店。けれども、週末は常連客を中心に席が埋まり、予約なしでは店に入れない場合もある。某大手中華レストランのスタッフたちも毎年忘年会を開催するという、隠れた四川料理の名店だ。友人たちと一緒に大勢で出かけたその日のお目当は「上海蟹」。この季節になると2人で食べに出かけ、今年は仕入れる?(去年は高いから仕入れないとの判断だった)と厨房のおぢちゃんに声をかけ、おばちゃんに相談し、仲間たちに声を掛けると、「行く!」「食べたい!」との声に開催が決定。楽しみにしていたその日がやって来た。

Banraiken2Banraiken4白肉(ウンパイロー)や白菜の甘酢漬けをツマミに、持ち込んだスパークリングワインで乾杯。*ちなみにグラスも持参。辛辛旨旨。優しい味の海鮮春巻きで舌を休めたところで甕出し紹興酒。そして待望の蒸蟹(上海蟹の姿蒸し)が大皿に乗って登場。おぉ〜っと歓声が上がる。メスがにの内子のオレンジが食欲を誘う。妻が用意してきたおしぼりを配り、各自自宅から持参せよ!との指示通りにキッチンバサミを取り出す。1人1杯。剥いては食べる、全部剥いてから一気に食べる、性格が現れる食べ方。お気楽夫婦は共同作業で全てを取り出す。蟹味噌と内子と淡白な身を合わせ、口に運ぶ。ねっとり甘く、生姜醤油でさっぱり旨し!秋の幸福。〆は山椒が効いた麻婆豆腐で汗ダラダラ。

SasageMInaBAR808」へ移動した後は、仲間の1人酒豪女子の誕生日、お気楽夫婦の結婚記念日をお祝い。ケーキを買うということ以外、事前に何の取り決めもなく、ぶっつけ本番のパーティ。なのに、それぞれが用意した手作りプレゼントあり、バニーの耳あり、ハロウィンクッキーあり、花束ありの大にぎわい♬ケーキはご近所の名店「Yu Sasage」のシャインマスカットのケーキ。これが軽やかな甘さで絶品。「この店は、焼き菓子よりケーキの方がずっと美味しいね」スイーツ番長の役員秘書も絶賛。彼女の作った(飲んだのは元々酒豪女子)ワインのコルク製ポッドスタンドに感激する酒豪女子。バニーの耳が良く似合う彼女もテンション高く、満面の笑顔。何だか楽しいぞ。

Party1Party2んなで写真撮ろう!」被り物が全く似合わない自信がある私は、蝶ネクタイ。試しに被ってみたものの、仲間の「・・・」の反応に即座に外す。妙にバニー耳が似合っているのに、「写真は公開しないでください!建築家生命が絶たれます」と懇願する建築家。*ご要望の通り画像は門外不出。全員が写った画像は加工済み。猫耳の役員秘書も、バニーのアスリート女子も、『魔女の宅急便』のキキのようなデカリボンの妻も、羨ましいほどお似合い。それぞれがバニーや猫耳を付けたまま、それから飲み直したワインも、愉しく美味しい味になった。気のおけない仲間たちが集い、ワイワイと中華料理のテーブルを囲み、(被り物付きで)美味しい酒を飲む、幸福な夜だ。

日も中華行く?」そんな日の翌日、真顔で尋ねる妻。気持ちは分かる。初日の台湾料理、2日目の上海料理、3日目の四川料理と上海蟹、確かにそれぞれが美味しく楽しい3日間だった。これから馴染みになれそうなお気に入りの店、今後もお祝いや接待でお世話になるだろう店、そして仲間たちと楽しむ店。どれも2人にとって大切な店、そして仲間たち。「次は京都かな?」え?妻が不敵に微笑んだ。

中華三昧の日々「第二夜:状元樓 自由が丘店」

yamamoto由が丘の物件は契約の見通しとなりました。IGAさん、ありがとうございました。やったぁ〜!」フットケア店のオーナーから、そんな嬉しいメッセージが届いた。だったら祝杯だ。自由が丘で飲みましょう!と返信。さっそく予約したのは、中華街にある「状元樓」の自由が丘店。お祝いの乾杯をするのに相応しい上海料理の名店だ。おめでとうございます!自由が丘へようこそ!と嬉しい乾杯。満面の笑みが零れるオーナー。「ホントに厳しい条件だったんですけど、店のロゴを作り直して大家さんに見せたら、頑張ったじゃないか、これで姉に説明しやすくなったよって言われて。窓口になった建築士さんのお姉さんが大家さんだったんですね。結果的には良い人でした」そんなエピソードも契約できる今となれば笑い話。良かった良かった。

Asparaめでたいということで、前菜盛合せの後にオーダーしたのは、「五福小籠包」という五色の小籠包、さらに「上海蟹入り小籠包」、「大海老とアスパラガスの蟹味噌炒め」という豪華に上海蟹を使った料理。素材の味を活かした上品な味付けや、逆に甘めで濃厚な味付けは上海料理の特徴。「どれも美味しいですね」と嬉しそうなオーナー。嬉しさは何よりの美味だろう。とは言え、確かに安心の美味しさ。甕出し紹興酒を飲みつつ、何軒かハシゴして自由が丘の夜を案内しますよと提案。「良いですね!行きましょう!」とノリノリ。そこに支配人がご飯か麺でもとオススメに登場。自由が丘へ支店を出すのだとオーナーを紹介し、この後何軒か自由が丘の店をご案内するのだと伝えると、お見送りの際「行ってらっしゃい」と笑顔で送られる。さすが。

spayside2軒目に向かったのは、状元樓から歩いて数十秒の「スペイサイドウェイ」というシングルモルトのバー。薄暗い店に入るとカウンターの奥にシングルモルトの瓶がずらりと並ぶ。壮観で荘厳な眺め。京都の三十三間堂に並ぶ仏像のように、1本1本が美しく妖しく輝く。仏像を守る僧侶のような店主に、余りウィスキーには詳しくないというオーナーにオススメの1杯をお願いすると、恭しくやってきたのは「The TEN」というシングルモルトのロック。「ラ・メゾン・ドュ・ウィスキー」というフランスに拠点を置くウィスキーショップの企画で、初心者向けに作られたアイラのシングルモルトだという。なるほど、ぴったり。私のラフロイグ、妻のガス入りウォーターで、再度乾杯。丁寧に丸く削られた氷を弄びながら、ぐびり。ん、これも自由が丘。

IMG_8909軒目は、熊野神社近くのカラオケスナック。転けたら骨折は必須という急な階段を登り、雑居ビルの3階へ。「実はカラオケ大好きなんです♬」とさっそくマイクを握るオーナー。ん、巧い。確かに歌いこんでる。ママにオーナーを紹介し、自由が丘に支店を出すのだと伝えると、「頑張ってね。商売は大変だけど、良い街よ」とエールを送ってくれる。「あら、この歌好きよ♡」とオーナーの歌う曲を口ずさみ、遠慮がちに一緒に歌い始める。ん、良い感じ。こんなワカモノの曲も知ってるんだぁ。さすが。「あれ?これ庄内弁?」飲まない冷静な妻が、店の壁に貼ってある似顔絵の吹き出しに目を留めた。「そう、酒田出身なんです」とママさん。「あら、彼は鶴岡ですよ」「あれ〜、びっくり!珍しいね」と喜ぶママさんとおもわず握手&ハグ。

日はありがとうございました。また飲みすぎてしまいました。中華美味しかったです。楽しいお店も紹介いただき、ありがとうございました」さっそくオーナーから丁寧なメッセージ。今まではフットケア店の客と施術師という関係だったけれど、これからは自由が丘の仕事仲間にもなる。商店街にも加盟いただけるとのことでもあり、ますます身近な関係になりそうだ。またぜひご一緒に!

002280249

SINCE 1.May 2005