夜桜、風邪、ウナギ「宮川本廛」

洗足池年の春は桜三昧。自由が丘南口緑道、横浜みなとみらい、中目黒、芦花公園と続いたお花見の日々の掉尾を飾ったのは、洗足池の夜桜。仕事でお付き合いのあるノルウェー系企業のお花見の会にご招待いただいた。「駅の正面に丘のようになっている場所らしいです。分からなかったら電話くださぁい」おおらかなご案内。洗足池の駅を降り、洗足池の湖畔に佇む。丘?右手に桜が咲く丘があるし、池の奥に小高くなっているのも丘と言えば丘だし。分からん。お誘いいただいた方のケータイに電話をしても繋がらない。交番の警官に尋ねると「あぁ、たぶんこの時期だけ露店を出すとこだろうね。ぐるっと一周してみたらどこかにあると思いますよ」やはり、おおらか。しかたなく、池の周囲に巡る小径を歩き出す。洗足池の周囲は1km強。ふぅ。

夜桜こに着信。「ちょうど池の反対側です。どちら周りでもおなじぐらいの距離で〜す」とのこと。のんびり歩いて行くと、やがていくつも露店が現れる。そして桜山と呼ばれる小高い丘に到着。大きな露店が建ち並び、その前には大量のビニールシート。妖しくも良い雰囲気。多くの人で既に賑わっている。聞けば各露店がシートを敷き、予約を受けてくれるのだという。その代わり、酒も料理も現地の露店で調達。お気楽で便利なシステムだ。満開の桜の下、宴はそこそこ盛り上がり、酒もそこそこ進む。しかし、夜になるとそこそこ寒い。確かに、この春は開花から寒い日が続いたこともあり、花見の期間が長かった。そして、その日の日中は暖かく、当日の急なお誘いだったため、コートも着ていなかった私。しっかり風邪を引いてしまった(涙)。

肝焼き邪を引いたら、ウナギ。そう決めている。風邪気味の身体に、精をつけるのだ!と決まってウナギを食べる。妻はと言えば、春の多忙な時期。ほとんど毎日終電に近い時間に帰る日々。独り夕食を取るのがこの季節のお約束。ということで、渋谷の東横のれん街へ。ウナギと言えば「宮川」だ。深川のうなぎ専門店「宮川」で修行をした創業者が、名跡を継いで明治26年に築地に開業した店の総本店は「宮川本廛」。東横のれん街に売店があるのは、宮川本廛から暖簾分けをした「つきじ宮川本廛」。それ以外にも「つきじ宮川本廛 新宿店」の系列店や、暖簾分けをした「つきじ宮川のれん会」の店が各地にある。さらには、その支店や暖簾分けの店が各地にあるという。う〜む、美味しければどの宮川でも良いけれど、ややこしい。

宮川本店のうな重きじ宮川本廛で買ったのは、うな重と肝焼き。持帰り用の器もしっかりしており、そのままレンジでOK。焼きたてに近い、ほくほくしたウナギが自宅で食べられる。温まったうな重に別添のタレと山椒をたっぷり振りかける。良い香り。う〜む、元気になりそうだ。うな重のご飯は固めに限る、どれどれ。う〜ん、合格。肝焼きはきちんと香ばしく、うんうん、合格。旨い。一緒に温めてしまったホット奈良漬けがちょっとだけ悲しいけれど、お値段通りの味。国産うなぎの表面かりっと、中はふぅわりが素晴らしい。甘さを抑えたタレも私好み。これならまた買って帰ることもあるだろう。「あれ?今日はウナギだったの?良いなぁ」深夜に帰った妻の鼻がひくひく。彼女の夕食はいつものSOYJOYだったらしい。私の風邪が治り、妻の仕事が一段落したら、美味しいものを食べに行こうか!「行く♡」いつもの夜食、深夜のポッキーを齧りながら、妻の目が輝いた。

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