恒例 “鮎尽くしの会” vol.5「用賀 本城」
2017年 9 月24日(日)
川魚は独特の臭いがあって苦手でも、鮎だけは別という人が多い。多くの川魚は“臭い”があり、香魚とも呼ばれる鮎には独特の香しい“匂い”がある。その淡白な身と香りと腹の苦味が相まって、鮎好きな人にはたまらないオトナの味だ。お気楽夫婦は大の鮎好き。ある年の夏、店に伺った際に「鮎尽くし料理」の話題になり、「ウチでやりましょか」という本城さんからの申し出に乗り、念願が叶った。以降、2年目からは鮎好きの仲間たちと一緒に毎年開催する恒例の会になった。夏を迎える頃に「今年の鮎はどうしましょう。飽きられんように料理を考えんと…」と本城さんに尋ねられる。どうやら本城さんも我々の会を毎年楽しみにしていただいている様子。嬉しい限りだ。
骨ごと食べる背越しは正直少し苦手なのだと伝えると、本城さんは「じゃあ、今年は洗いにしましょ」と即答。いずれも新鮮な活魚でなければできない料理。本城さんは琵琶湖から生きた鮎を取り寄せるとのこと。思えばゼータクな会だ。鮎尽くしの会の会場「用賀 本城」は京料理の名店。「たん熊北店」出身の本城さんが独立して8年前に開店した店だ。お気楽夫婦はたん熊時代から10年以上のお付き合い。友人たちを伴い何度も店を訪れているが、鮎の会のメンバーが最も同伴頻度が高い。「きゃぁ!元気な鮎だぁ」毎年お約束の“活き鮎の顔見せ”に本城さんがタライを持ってテーブルに登場し、役員秘書が歓声を上げる。そんなメンバーの中でも彼女は鮎の会の常連だ。
その日の鮎尽くし料理は、一夜干しとウルカから。一夜干し鮎の香ばしさ、ウルカの苦味と旨味が絶妙な組み合わせ。この一皿だけで酒がススム。ビールを飲んでいたメンバーもすかさずお猪口を手に取る。この味には何と言ってもキリッと冷えた日本酒だ。続いて砕いた氷の上に嫋やかに横たわる鮎の洗いの登場だ。肝と合わせた醤油でいただく。繊細で上品な味わい。やはり背越しよりもずっと食べやすく美味しい。大正解。さらには王道の塩焼きが続く。頭から尻尾まで齧り付けるジャストな大きさ。骨も邪魔にならず、腹の苦味、さくっとした歯触りを一緒に味わえる。そして、今年もこの一皿を食べることができた幸福も一緒に味わう。しみじみ幸福な味だと、日本酒をぐびり。
鮎の骨せんべい(唐揚げ)は、ナスやハンダマと共に彩り豊かなサラダとして供される。本城さんの盛り付けはどれも見目麗しく、皿との組み合わせが素晴らしい。さらには新顔の料理、カダイフ(魚料理に使われるフレンチの食材)を巻いた鮎と松茸のフリット。カリカリの歯触り、鮎の甘みさえ感じる新鮮な味覚。これは旨い。さらには骨までほろほろの梅煮、鮒の代わりに鮎の熟れ寿司も。これでもか!と京料理の枠を超え、あらゆる方向から鮎の料理がやって来る。そこまでで7皿の鮎料理。「これで何尾くらい食べたんだろうね」「10尾以上は食べてるね」「年に1度のゼータクだぁ」とテンションが高い仲間たち。そして飽きずに食べさせる本城さんの技の凄さとアイディアを実感。
「鮎飯の後にデザートはどうしますか」笑顔の女将さんの問いに私を除く全員が食べます!と声を揃える。私は既に満腹中枢が悲鳴を上げている。フードファイターたちの胃が欲しい。釜炊きの美味しそうな鮎飯がやってきて、「うわぁ〜!美味しい♫」と感嘆の声を上げる仲間たち。うっ!食べたい!とひと口だけいただき、おにぎりにしていただくことに。「お代わりくださぁい♡」コメ好きの役員秘書が笑顔で鮎飯を頬張る。毎年恒例の風景だ。こうして5年目、第5回の鮎尽くしの会が終了。「また今年もありがとうございました」と挨拶にいらした本城さんと記念撮影。仲間たちも、本城さんも満足の笑み。また来年、こうして美味しい鮎を仲間たちと一緒に味わえますように。