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山形県鶴岡市に湯田川温泉というこぢんまりとした温泉がある。時代小説の作家、藤沢周平の生家が残る小さな温泉街。そこに「湯どの庵」という小さな宿がある。この宿はリノベーションされ、和モダンの宿として人気が高い。チェックインはフロント横の専用スペースでウェルカムドリンクを飲みながら。部屋への案内はない。畳の部屋ではなく、小上がり風に床を上げ、そこに布団を敷いてベッドのように利用する。つまり内装だけではなく、ホテルと日本旅館の機能を融合させ、日本旅館独特の窮屈な雰囲気を和らげている。
食事は部屋食ではなく、ちょっとおシャレな和食の店に向かう気分で。この食事が絶品なのだ。食用菊「もってのほか」、三元豚など、独特の食材が豊富な庄内地方。加えて米所としても知られ、日本海の海の幸もたっぷり。同じ鶴岡市湯野浜温泉にある亀屋という旅館と同系列。亀屋が赤坂に出した料理店「阿部」がミシュラン東京版で☆を獲得したことでも料理の水準が分かろうというもの。庄内の味を巡る旅ならば、ぜひ一度訪ねて欲しい宿だ。
【快楽主義宣言へ】
■「海と野を味わう宿」 2007年7月29日
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行ったことはなくても、この風景を目にした人は多いはず。数多くのCMで使われた、世界的な建築家マリオ・ベリーニのデザインによる異国情緒溢れる建物は、イタリアの山岳都市のようだと評される。ところが、バブル崩壊の波に呑まれ、経営母体のマイカルが破綻。存続を危ぶまれた際に救ったのは星野グループ。やはりお気楽夫婦が訪れたアルファリゾート・トマムと同様の運命。
バブル期のゼータクさ加減は、機能性や心地良さよりもデザイン重視。かつてお気楽夫婦が宿泊した際も、決して実用的な客室ではなかった。けれど、それを補う以上の魅力がこのホテルにはある。何よりも、そのロケーション。背後に聳える神々しいまでの八ヶ岳が、施設の絶好の借景となる。敷地のあらゆる場所が、実に絵になる風景。そして、スパ&プールのイル・マーレ。波の出る室内プールとジャグジー、露店温浴施設が一体となっている。スパ好きのお気楽夫婦は、かつてこの施設を利用するために立ち寄ったこともある。そして、本格イタリアンレストラン OTTO SETTE(オット セッテ)。お値段も本格的ながら、お味の方もかなりのレベル。その後、星野グループがどのように再生させたのか、再び訪ねてみたいホテルだ。
*現在は「星野リゾート リゾナーレ」
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ある夏、美しい海をどうしても一緒に見たくなった。もちろん妻と一緒に。そこで選んだのは、かつて仕事で訪ねた石垣島、川平湾。選んだホテルはClub Med KABIRA、そして二期倶楽部が運営するオーベルジュ川平だった。小さなエントランスを抜けると、窓の向こうに青。世界中どの海を訪ねても、この美しさ、透明度には敵わない。そう思わせる川平湾が目の前。ホテル自体が川平湾に浮かんでいるような風景。案内されたデラックス・ツインルームはその川平湾を望むコーナールーム。川平湾を視界の隅に置きながら本を読む。風景に物語が溶けて行く。決して豪華な施設ではないけれど、手作りの感覚も残る温かい施設。地元の食材をベースにした美味しい料理も忘れられない。そして深夜、建物の屋上で降る星を眺める。さらに早朝、明けて行く空を眺める。近くの高嶺醸造所(泡盛:於茂登の醸造所)、川平公園茶屋と共に長く記憶に残る風景になった。
*2010年都市計画(公園整備)のために退去命令〜閉館 残念!