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東京赤坂に「阿部」という料理店がある。心を込めた食材を用いて、正しい日本の食事を追求する店、だという。…というのも訪問しようかという矢先に、ミシュランの☆を取ってしまったのだ。2007年に訪ねた山形の温泉宿「亀や」が経営する店。その宿での食事が美味しかったが故に訪問しようかと思っていた直後に。☆付きの店と知って訪ねるのはテレてしまうお気楽夫婦。これで「赤坂阿部」訪問する機会が永遠に失われたかもしれない。残念だ。
ところで、亀やは豪華な外観ながら、至極フツーの温泉旅館の顔をしている。フロントも、お土産コーナーも、お風呂も、ベタな温泉旅館。ところが、「KAMEYA514-519」と名付けられた6部屋だけは趣が異なる。オーシャンフロントの部屋にツインベッドがどんと置かれ、海に向いた窓にやはりどんと大きな皮のソファ。すっきりとしたワンルーム風の部屋に檜風呂付き。ベッドルームとの間にある扉を開け放つと、外を眺めながら風呂に浸かることができる。そして、100畳敷きの大広間を改装したという竜宮殿 ダイニング「千尋坊」もすっきりモダンな空間。日本海の海の幸、庄内地方の豊かな食材が一段と美味しく感じられる。日本旅館の新旧の趣と味わいを、絶妙に組み合わせた宿だ。
*2012年7月、新装なった「HOURAI」という特別フロアに宿泊。妻はミッドタウンのリッツカールトンより気に入ったと言ってくれたが、それはホメ過ぎだろう。けれどもそう言われて悪い気はしない、故郷の自慢の宿として、さらなる進化を遂げた。
【快楽主義宣言へ】
■「海を眺める宿」2012年8月5日
■「海と野を味わう宿」 2007年7月29日
■「海と空を眺める宿」 2007年7月28日
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山形県鶴岡市に湯田川温泉というこぢんまりとした温泉がある。時代小説の作家、藤沢周平の生家が残る小さな温泉街。そこに「湯どの庵」という小さな宿がある。この宿はリノベーションされ、和モダンの宿として人気が高い。チェックインはフロント横の専用スペースでウェルカムドリンクを飲みながら。部屋への案内はない。畳の部屋ではなく、小上がり風に床を上げ、そこに布団を敷いてベッドのように利用する。つまり内装だけではなく、ホテルと日本旅館の機能を融合させ、日本旅館独特の窮屈な雰囲気を和らげている。
食事は部屋食ではなく、ちょっとおシャレな和食の店に向かう気分で。この食事が絶品なのだ。食用菊「もってのほか」、三元豚など、独特の食材が豊富な庄内地方。加えて米所としても知られ、日本海の海の幸もたっぷり。同じ鶴岡市湯野浜温泉にある亀屋という旅館と同系列。亀屋が赤坂に出した料理店「阿部」がミシュラン東京版で☆を獲得したことでも料理の水準が分かろうというもの。庄内の味を巡る旅ならば、ぜひ一度訪ねて欲しい宿だ。
【快楽主義宣言へ】
■「海と野を味わう宿」 2007年7月29日
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行ったことはなくても、この風景を目にした人は多いはず。数多くのCMで使われた、世界的な建築家マリオ・ベリーニのデザインによる異国情緒溢れる建物は、イタリアの山岳都市のようだと評される。ところが、バブル崩壊の波に呑まれ、経営母体のマイカルが破綻。存続を危ぶまれた際に救ったのは星野グループ。やはりお気楽夫婦が訪れたアルファリゾート・トマムと同様の運命。
バブル期のゼータクさ加減は、機能性や心地良さよりもデザイン重視。かつてお気楽夫婦が宿泊した際も、決して実用的な客室ではなかった。けれど、それを補う以上の魅力がこのホテルにはある。何よりも、そのロケーション。背後に聳える神々しいまでの八ヶ岳が、施設の絶好の借景となる。敷地のあらゆる場所が、実に絵になる風景。そして、スパ&プールのイル・マーレ。波の出る室内プールとジャグジー、露店温浴施設が一体となっている。スパ好きのお気楽夫婦は、かつてこの施設を利用するために立ち寄ったこともある。そして、本格イタリアンレストラン OTTO SETTE(オット セッテ)。お値段も本格的ながら、お味の方もかなりのレベル。その後、星野グループがどのように再生させたのか、再び訪ねてみたいホテルだ。
*現在は「星野リゾート リゾナーレ」