緑のボランティア「浜名湖ガーデンパーク」「私立公園」

Photo 風香る五月。爽やかな風が頬に心地良い。こんな季節に、それもすかっと晴れた週末にはふらっと外出したくなる。世田谷の外れに住むお気楽夫婦。街には緑も多く、少し足を伸ばせば屋敷林が点在する農地もあるし、野菜の無人販売スタンドも健在だ。そんな街の一画にこの季節に賑わう場所がある。個人の名前を冠したつつじ園。その個人の庭を開放した公園が実に見事なのだ。入園はもちろん無料。なのに丁寧にツツジの品種を写真入りで紹介する看板があったり、ベンチが置いてあったり、個人の管理する庭とは思えない水準だ。

Photo_2る週末、つつじ園を目指してのんびり散歩。新しいマンションができたね、ここは店が変わったね、などと通りを観察しながら。自分たちの住む街の定期的な巡回のようなものでもある。高層マンションのすぐ裏手にそのつつじ園はある。遠目にも燃えるようなつつじの赤がまぶしい。盛りを過ぎた花も多かったけれど、まだまだ見頃。鮮やかな色彩が気分を高揚させる。視界が全て赤く染まる。心も柔らかく和んでいくのが分かる。見物客も記念写真を撮り合っている。「すいませぇん。シャッター押してもらえますか」良いですよと快く撮影を引き受ける。なぜか私はどこにいても道を聞かれたり、撮影を頼まれることが多い。「人が良さそうには見えないんだけどねぇ」と妻。ふんっ。

Photo_6日後、妻の故郷である浜松に向かった。花好きな妻の両親と一緒に出かけたのは、数年前に開催された「花博」というイベント跡地に造られた「浜名湖ガーデンパーク」という広大な公園。入口付近に広がる芝生広場だけでも5ヘクタール。電柱も、電線も、余計な造作物も全くない芝生の緑が続く風景が心地良い。眺めているだけで開放感が溢れてくる。私は花なんか見なくて良いから、ここで寝ころんでビールでも飲んでるよ!そんな気分になる。健やかで、のんびり度満点。気分爽快。

Photo_3Photo_4は言え、案内してくれる両親の手前、公園の奥に進む。フラワーハンギングで飾られた美しい橋を渡ると見事なイングリッシュガーデンが続く。小学生のクラスや地域団体のメンバーが丹精した花壇らしい。聞けばこの公園全体が多くのボランティアによって維持運営されているらしい。素晴らしい。花壇の見事さもさることながら、文字通りの「公」園だけではなく、「民」が参加し育てて行く公園。税金で「箱」を作って、運営は「天下り」の団体が高いコストをかけてやります!などという施設とは大違い。それを知れば花のひとつひとつを大事にしようと思う気持も増すというものだ。

Photo_9Photo_10園のさらに奥に進むと、花博に出展したイギリス、中国、タイなど各国のガーデン。そして一番奥にこの公園の目玉がある。クロード・モネがジヴェルニーの自宅に造った庭を模した庭園。モネが「睡蓮」を描いた庭。モネは浮世絵などの日本文化に影響を受け、庭に日本風の橋を架けたり、柳を植えたりした。その庭を模したということは日本文化の逆輸入でもある。ふぅむ。忠実に再現された庭は実に面白い。ここはどこ?という気分になる。ちなみにこの庭のメンテナンスも見事だ。

Photo_11 日、個人の運営するバラ園に向かった。無料の駐車場まで備えた本格的な施設。バラのアーケードをくぐると何十種類ものバラ。一本一本がきちんと手入れされた元気なバラだ。聞けば亡くなった奥様が丹精されていたバラをご主人が引き継ぎ育てているとのこと。工事現場で使用する足場のパイプを組合せ、富士山型や大阪城型の棚を造り、蔓バラを這わせている。まだ未完成ではあったけれど、観る人を楽しませようとする見事な意匠だ。自分の好きな、あるいは自分にとって大事な花を育て、自分で楽しむだけではなく多くの人に観てもらう私立の公園。趣味の世界だからと言ってしまうには、その労力を察するに余りある。緑のボランティアと呼んで良い程のエネルギー。感謝しながら園を後にする。

れにしても花、花、花の休日だ。ところで妻は花の好きな両親の元で育ったのに、花の名前を知らない。区別できるのは桜、ひまわり、チューリップ、それにせいぜい紫陽花ぐらいのものか。「ツツジも分かるよ♪あ、バラも!」・・・ハナミズキも、モクレンも、レンギョウも、コデマリも、ユキヤナギも、サルスベリも教えたはずなのだけれど。

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