Archive for 9 月 4th, 2010

天空のプール「マリーナ・ベイ・サンズ」シンガポール

天空のプールマリーナベイサンンズ全景模型空の…という、安直で手垢が付いた表現は、本当は使いたくはない。けれど、このプールに関しては、それ以外に表現のしようがない。地上200m、57階建てのホテルの上に、それも3棟のホテルの上を繋ぐ、天空を翔る船のような姿の、長さ150mのインフィニティ・プール。初めてその画像を見た時に、これは行かねばなるまい、そう思った。シンガポールのマリーナ地区の南側、マリーナ・ベイ・サンズという巨大なリゾート施設が(一部)完成した。開発したのはラスベガスに本社を持ち、マカオなどでもカジノを中心としたリゾート施設を運営するラスベガス・サンズという会社。ホテル以外にも、カジノ、コンベンションセンター、ショッピングセンター、ミュージカルシアターなどの複合施設ができ、国際的なMICE(Meeting、Incentive、Convention、Exhibition)すなわち観光だけではなく、ビジネスツーリズムの誘致を狙うシンガポールの戦略。日本はここでもすっかり遅れを取っている。

マリーナベイサンズ全景室内からの眺望室数2,560。お気楽夫婦の嗜好からは、大きく外れる巨大ホテル。けれど、天空のプールを利用(見学だけなら宿泊客以外も可能)するには、宿泊しなければいけない。サービスに関しては期待せず、スケジュールを変更し予約を入れた。案内された部屋は開発中の公園と貨物船の浮かぶ風景が見える“シービュー”。すかさずマリーナベイビューに変更。「このホテルのウリはビューしかないんだから」チェックインで不快な思いをした妻がぶつぶつ。新たに用意してもらった部屋は、大きな窓から心地良い風景が広がる。妻のご機嫌も直り、待望のプールに向う。そして、その絶景にご対面。凄い、というよりも、何考えてこんなものを造ったんだ!という風景。水がそのままマリーナベイに流れ落ちてしまうような、青空に浮かび、ベイサイドの摩天楼群を見下ろす、オープンエアの巨大なプール。高いところが大好きなお気楽夫婦。くらくら、わくわく、見飽きることのない快感の眺め。

巨大なカジノ水路もある巨大なショッピングセンターいて、ホテルから直接アクセスできるカジノとショッピングセンターを見学。カジノに向う途中には、Van Cleef & Arpels、BVLGARIなどのショップ、キャッシュディスペンサーが並ぶ。カジノで勝っても負けてもお世話になる施設が、分かりやすく配置されている。そして、旅行客はパスポートを見せ(無料)、地元住民は有料でカジノに入場。金ぴかの内装、巨大な吹抜、周囲には何層にも重なる賭博場。まるで『スターウォーズ』に出てくる銀河共和国の大会議場。内部には最新のマシーンが並び、(ほとんど中国人と思われる)多くの客が溢れる。場違いのお気楽夫婦は早々に退散。施設内に造られた水路に船まで浮かぶ、これまた巨大なショッピングセンターに向う。工事中の店舗も多い中で、一部は営業中。昼時はテイクアウトの屋台に従業員が並ぶ。香港や上海でも見慣れた風景。高級ブティックのSCと、数百円相当のランチのギャップが際立つ。

巨大なペッパークラブを喰らう満腹である食はシーフード食べたい!」ということで、妻の綿密な事前調査でチョイスされた「無招牌海鮮(No Signboard Seafood)」エスプラネード店に向う。看板のない海鮮の店という名の超有名店。夕刻には夜景が眺められるテラス席まで大勢の客で溢れる。妻が食べたかったのは、ペッパークラブ。シンガポールの海鮮と言えばチリクラブが有名だが、この店はペッパークラブがおススメだという。シングリッシュでまくしたてる店のおばちゃん相手に、妻が奮闘しオーダー。そして、運ばれてきたのは巨大なカニ。満席の店内、周囲の客が好奇の目で覗き込む。「あの2人、あんな大きなカニを2人で食べるのかしら」という眼差し。「計算間違えちゃった!」というオーダーした妻に料金を聞くと、納得。「量」だけではなく、「価格」でも興味を持たれたらしい。味はと言えば、ぴりっと利いたペッパーがカニの旨味を引立てる美味。流れる汗を気にすることなく、小食の2人ながら意地で完食。

マリーナ地区全景ベイサンズの花火腹のお腹を抱えて店を出ると、マリーナ・ベイ・サンズをはじめとした高層ビル群の夜景が2人を迎えてくれた。うぅ〜ん、きれい、素晴らしい。絶景に唸る2人。と、突然複数のビルの屋上からレーザー光線。そして花火。香港のシンフォニー・オブ・ライツのような一大イベント。花火は貧弱ながら、なかなか見応えのある風景。けれど、その割には観客も少なく、何となく始まり、何となく終わってしまう。あれ?拍子抜けしながら街を散策。マリーナ地区の至る所に点在する巨大なショッピングセンターを巡る。香港に比較すれば、安全で、健全で、清潔な街だ。

「もうちょっと毒があった方が、街としては魅力が出るよね」ふふっ。男も同様。適度に毒があった方が良いのだ。「あなたには、毒はあるけど、アルコール(酒)で消毒してるからなぁ」妻の評価はいつも厳しい。

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