四度目の正直「オイスターバー/品川」

dsc私は生牡蠣が大好きだ。冷えた牡蠣の殻の上に、ミルク色の瑞々しいぷるぷるの身が、「お願い、ちゅるっと、ひと思いに食べて!」と横たわるのを、レモンを絞り、口の中に入れ、潮の香りを楽しみながら、芳醇で濃厚な…、あぁ、今すぐにでも食べたい!ところが、私には食べられない訳がある。最初は、生意気にも学生時代にフランスを旅したときだった。貧乏旅行ではあったものの、ブルターニュの港町で、フリュイ・ド・メール(Fruits de mer=生牡蠣やムール貝などの海の幸の盛り合わせ)をたっぷりと味わった。美味しかったぁ。新鮮だった。冷えたワインと良く合った。そして翌日からホテルで2日間寝込んだ。ちょっと食べすぎたかなと思いながら。

二度目は新宿。三丁目の居酒屋で大騒ぎ。生牡蠣もたっぷり食べた。ズブロッカを飲みながら、「やっぱり生牡蠣は旨いよねぇ」とか言いながら。そして翌日、会社を休んだ。…ちょっと古かったのかなぁ、と。三度目。広島に出張。「やっぱり広島は牡蠣でしょう」とか言いながら、地元の名店で食す生牡蠣。これが、旨いのなんのって。広島の地酒にぴったりだった。そして翌日、帰りの新幹線の指定席にはほとんど座らず、ずっとトイレにこもる5時間。

…そう、勘の良い方なら(良くなくてもたぶん)お分かりのように、私は生牡蠣に当たる体質のようなのだ。これは、辛い。だって、とても好きなのだ。生牡蠣が。ニューヨークに行っても、グラセンのオイスターバーには近寄らなかった。品川にオイスターバーができて友人たちと一緒に出かけても、「美味しいのはクラムチャウダだよね」と、一人だけ生牡蠣を食べず、皆が美味しそうに食べる生牡蠣を淋しく眺めたりするだけだった。

そんな私の今の夢のひとつは、仕事を辞め「生牡蠣」を心ゆくまで堪能すること。ニューヨークのグラセンのオイスターバーで(品川でも可)各地の牡蠣を食べ比べ、きりっと冷えた白ワインを飲み…そして翌日はトイレに閉じこもっても悔いはない。あぁ、早く引退したい!生牡蠣を食べるために。

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