乗り過しにご注意を!『ゴッホは欺く』

Photo_90普段の生活では馴染みのない街を訪れることになった。それも、週末も含め毎日。東京の南西、世田谷の端っこから東京の北東に位置する足立区へ。仕事とは言え、毎日となるとちょっとたいへん。しかし、恩恵もあった。遠いということは、電車に乗る時間が普段より長い。それも朝は都心から郊外に向かい、夕方は郊外から都心に戻るという一般的な通勤と逆のコース。つまり、電車の中で座って読書できる時間が増える、ということ。ふぅむ、何を読もうか。

そこで初めて手に取ったのが妻の本棚にたっぷりある、ジェフリー・アーチャー。彼に対する知識はと言えば、イギリスの上院議員だったり、何の罪かは忘れたけれど実刑判決を受けて投獄されて、その体験を獄中記として発表したり、という波乱に満ちた半生のみ。ベストセラー作家である彼の著書に関する知識はほとんどなし。という状況で読み始めた文庫版最新作『ゴッホは欺く』…これが、実に面白い。登場人物がやたらと多く場面転換も目まぐるしいため、その関係やらキャラクターが把握できない前半部分は、何度もページを戻したり、表2の“主要登場人物”で名前を確認したり。しかし、その登場人物たちが一度“読書映像”(本を読むときって、映画のように自分の頭の中で映像を描きながら読みませんか?妻は全く映像が動かないらしいけれど)で動き始めると、それぞれのキャラクターが魅力的で、一気に最後まで読ませる。

ストーリーは、9月10日から26日までの2週間、“名画”を巡る物語。その名画、表紙にもある『耳を切った自画像』を我が手にしようとする登場人物たち。ニューヨーク、ロンドン、ブカレスト、東京を舞台に、繰り広げられるサスペンス・ドラマ。はらはらしながらページをめくる。大団円に胸をなでおろす。9.11を素材の一部にしながら、チャウシェスク政権や絵画オークションの舞台裏、ロンドンの貴族の生活を織り込みつつ、スピードある展開が1ページも飽きさせない。原題の『False Impression(間違った印象)』通りに、ジェフリー・アーチャーを誤解していた。“ベストセラー作家”ということが、私にマイナスイメージを与え過ぎたようだ。(でもシドニー・シェルダンは、きっと一生読まない)よし、気に入ったら一気に読んでしまおう♪ということで、足立往復5日間に読み終えた著作が5冊。

『運命の息子(上下巻)』『十一番目の戒律』…いずれも降りる駅を忘れそうになりながら読み続けてしまう。…いや、正直に言うと、1度は乗り過してまった。大河ドラマ的なストーリー(彼はサーガと呼んでいる)や、登場人物の余りにスーパーマン的な設定が鼻につく、善悪の対比が極端過ぎるなどの感想は置いておく。エンタテインメントとして楽しいのだから、それで良し。妻に言わせれば、昔の作品の方が質が高く面白いとの評価。まだまだ続く足立詣。この際、ジェフリー・アーチャー、全作品読了だ♪

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