ご近所、街の洋食屋「はしぐち亭」千歳烏山

Photo_6る週末、たん熊北店二子玉川を訪れた。お気楽夫婦にとっては、季節ごとにその季節を味わうために、わざわざ訪れる大切な“ハレの店”。いつもの席に座ると、「そうそう、嫁と一緒に行ってみたんですわ。場所が分からなくて探してしまいました」と店長の本城さん。え?どちらに?奥さんと2人で?聞けば、私の書いたブログの記事を読み、ご近所の洋食屋「はしぐち亭」を訪れてくれたという。はしぐち亭は、2人にとって「たん熊」とは対極にある、普段使いの大切な“ケ”の店。何も良いことがなくても、何か良いことがあっても、気軽に訪ねたい店。どちらが美味しいとか、良い店とかという比較は無意味な、どちらも2人のお気に入り。そのハレの店の本城さんがケの店の橋口さんと遭遇するというのは、実に不思議でくすぐったい場面。偶然その場にいたかったような、いなくて良かったような。

Photo_7日、はしぐち亭を訪れた際にそれを伝えると、橋口さんは恐縮しきり。「あぁ、そうだったんですね。嬉しいですねぇ。ありがたいです。ランチの時にいらした方かなぁ・・・」お2人とも研究熱心で、何よりも食べることが好きで、食べてもらうことが好き。それが彼らの料理に表れる。そんな料理をいただくことができるお気楽夫婦はつくづく幸せ。その日はニュージーランド訪問以来、2人のブームになっているムール貝をオーダー。白ワインに合わせてサンマの薫製とオリーブのオイル漬けも。きりっと冷えた白ワインを飲み、フレッシュでスモーキーなサンマを齧る。うん、旨い。続いてお気楽夫婦の好物、鴨のロースト。橋口さんの料理はソースが実に良い。やはり美味しいご近所の味。こんな店が歩いて1分のところにあることが、とても嬉しくありがたい。

Photo_8しいメニュー構成はどう?「そうですねぇ。まだ試行錯誤の日々ですね」オープンしてから何度目かのメニューのリニューアル。洋食の基本的なメニューを中心にその日のお薦めメニューは絞り、料理を出すスピードをアップしようという試み。この店のご自慢のソースとドレッシングを前面に出すということでもある。「週末の夜とランチは比較的お客さまにいらしていただけるんですけど、平日の夜はもうちょっと頑張らないとですね」確かに、こんな会話ができるのも他のお客さまがいないから。「そろそろ初めてのクリスマスなんですけど、まだメニューを迷ってるんですよ」ん〜、いつもの橋口さんの“暖かいメニュー”で良いんじゃない。悪い意味ではなく、みんなこの店に美食を求めている訳ではないしね。

うなんです。求められても困りますね。私の目指すのは街の洋食屋なんです。修業時代にお世話になったタイガー食堂という店が銀座にあるんです。美味しくて、ボリュームたっぷりで、ご夫婦がとっても良い人たちで、迷っている時に訪ねると、最近どうだ?とか声を掛けてくれたりですね、食べ終わってからお金がないと気付いたりですね・・・」ふぅん、そうなんだ。なんだか行ってみたいね。「あぁ、ぜひ行ってみてください。ほんとに良いお店です。目指したいんですけど、まだまだです」名前ばかり有名な老舗で、観光で来るようなお客さん向けにC/Pの悪い料理を出している洋食屋が多いもんねぇ。「はい。感心しない店も多いですよね」ところで、クリスマスは一番空いていそうな日に予約しますね。「ありがとうございます。メニューが決まったらお伝えします」年末に向けて楽しみが増えた。わが街の食堂として、これからもずっと店を続けて欲しいものだ。

・・・日鐔。さっそく行ってみようかとネット検索した「タイガー食堂」。そこでヒットしたのは「タイガー食堂、閉店」のニュース。2008年11月14日をもって、昭和39年から続いた街の食堂が閉店とあった。その日は偶然ながら、はしぐち亭を訪ね話を聞いた翌日だった。残念。お気楽夫婦にとっては幻になってしまったタイガー食堂。けれど、きっと橋口さんの店を訪ねれば、その味やサービスは、いつか体験できるに違いない。

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