春の口福を味わう「銀座 天一・鮨いち伍」

Haru1Haru2は天一」…日経新聞に、小さな広告が掲載されると、お気楽妻がソワソワしだす。「山菜がある内に、天一に行かなきゃね」と自分に言い聞かせるように呟く。担当する業務の関係で、深夜残業が続く妻の春。けれど、季節を感じるために、季節を味わうために、天ぷらを食べに行きたい!と切実に思うのも、やっぱり春なのだ。それも天一。ごま油で揚げた重めの天ぷらではなく、コーン油で揚げた軽めの天ぷらが2人の好み。そして日程を調整し、妻が出勤をした休日の夕方に、ようやく天一に行くことができた。2人で向かうのは、東急百貨店本店のレストランフロア。天一の中でもお気楽な店。小さな揚場と、こぢんまりしたカウンタ席がお気に入りなのだ。

Haru3Haru4約したカウンタ席は満席、テーブル席はガラガラ。いつもの風景だ。*万が一にも改装して、揚場を増やしたらこの店の味わいが消える。東急さん、どうぞこのままで!まずは、たっぷりのダイコンおろしにタレをかけて、ビールのつまみに。これが大好き。そして、たらの芽、コゴミ、タケノコ、春の野菜や山菜から。香りと歯ざわりを味わう。それぞれ旨い。白魚、ハマグリ、稚鮎も忘れずに。メニューを眺めているだけで嬉しくなる春の味。あぁ、春が来たんだと実感する。いつでも食べられる食材が増え、どんどん季節感が薄れていく中、天ぷらのタネだけは、季節感が溢れる。春の味を食べ終えると、あぁ後1年待たなければいけないんだと寂しくなり、楽しみにもなる。それが春の天ぷら。

Haru5Haru7子が食べたかったなぁ」スカッシュ仲間の役員秘書も、やはり多忙を極める春。忙しい季節を乗り切るため、楽しみにしていた「鮨いち伍」訪問の日の直前、翌日に早朝から出勤となり急遽欠席。残念。季節を味わえるのは鮨も同様。特に、名前に「春」と付く真鯛の稚魚、春子(かすご)は文字通り春の味。江戸前の寿司ネタの春の定番だ。「あぁ、今日は春子ないんですよ」あらら。代わりに鯛の昆布締め。妻の大好物だ。そしてサヨリ。旬は3月から4月、春告魚のひとつ。スカッシュ仲間では、ノドグロならぬ“ハラグロ”と呼ばれている、これは私の大好物。いずれも軽やかで、繊細で、頬張ると白身ならではの歯ざわりが心地良い、春らしい味わい。ん〜んまい。

Haru6Haru8に青葉 山ホトトギス 初がつを」…江戸時代に山口素堂が読んだ句だ。この季語が3つも入った有名な俳句のように、初鰹は初夏、新緑の季節だから、春の鰹はまだ走り。脂の乗った戻り鰹に比べ、さっぱりとした春の味。藁で炙ってタタキにして、おろし生姜を添えた爽やかな握り。忘れていけないのは、煮ハマ。産卵期に入る前の、ぷっくりとしたハマグリを軽く火を通し漬け込んだ、代表的な春の鮨。お気楽夫婦の寿司ネタランキング断然TOPのネタ。甘辛いツメが塗られた煮ハマは、私を食べてぇ〜と付け台の上で微笑む。その姿は妖艶でさえある。煮ハマの誘惑に乗り、一気にぱくり。くぅ〜っ、春の味が、香りが、艶かしい美味が口の中に広がる。春の口福を味わう。

IMG_3510餅は食べておかなきゃだね」深夜に帰った妻と一緒に、桜餅を頬張る。妻はお茶、私はビールと共に。桜餅は、同じ名前でありながら、関東の長命寺餅、関西の道明寺餅と、全く違う菓子。お気楽夫婦の好みは、道明寺粉を使った関西風に軍配があがる。もっちりとした餅と、餡と、ちょっとしょっぱい桜の葉の絶妙な組合せは、やっぱり春を代表する味。旨い。季節の味を大切にするお気楽夫婦。とは言え、深夜に桜餅をたべただけではなく、大ぶりのぼた餅も食べてしまい、翌日はすっかり胸焼け。やれやれな2人でもあった。そんな口福の春の味、また来年も!

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