カァムバァ~ック!山本!「クリスマスの風景」

Photo_15待望の鮨源が、ようやくリニューアル・オープン。私よりもずっと、その日を心待ちにしていた妻と二人、“満を持して”の訪問。年末の凄い人出に、席がなくなる前にと、買物もそこそこに店に向かう。この店は週末の予約は不可。旨い鮨を食べてから、買物の続きをと、暖簾をくぐる。あちゃあ、いつもの入口すぐの席には、先客あり。残念。あれっ?山本さんの姿もない。お休みかなぁ。残念×2。カウンタの中は、見覚えのない板さんばかり。ちょっと淋しい。いつもの席の隣りに座る。氷冷のショーケースの中のネタが見やすくなっているが、他はどこを改装したのか分からない。「待たされた割には・・・」妻がぶつぶつ。

「何から行きましょう?」「あぁ、まずは生ビール、彼女はお茶。おつまみなしで、すぐ握ってください。白身は何がありますか?」「ヒラメと、カワハギと・・・」おしっ!気を取り直し、カワハギの肝かぁ!「ヒラメとカワハギをお願いします」「分かりました」しばらくして、「ヒラメはどちらで?」「あ、一貫づつお願いします。二人共小食なんで」「はい、ヒラメとカワハギです」あれ?醤油で食べるのか?そう言えば、塩か醤油か聞いてくれなかったなぁ。カワハギは肝なしかぁ。妻の目が、私に何かを訴えている。あ、そう。せめて、塩にしてもらえと。はい、はい。「あ、これ、塩でお願いできますか?」板さんが、握った鮨を戻し、この店の“売り”であるアンデスの天然岩塩を削り、降りかける。

Photo_19「なんか、つまんないねぇ。美味しいけど」妻が呟く。確かに、今までなら山本さんが二人の好みを全て分かって、薦めてくれたし、コミュニケーションもスムースだった。妻は、山本さんのお薦めに頷き、味の工夫に驚き、技に感心し、心遣いに目を細め、それらの全てが鮨の美味しさを倍増させていた。初めての板さんだから、仕方ないよと妻に伝えながらも、いつもと微妙に違う味のネタひとつひとつに、アラを探してしまう。やや暖かいシャリに、唸ってしまう。人間の心理、味覚なんて、所詮そんなもの。

いつもどおりのネタ数を、早々に食べ終え、買物に戻ろうと席を立つ。レジには見慣れたおばちゃん。ちょっとホッとして、思わず尋ねる。「山本さんはお休みですか?」「山本さん?あぁ、辞めちゃったのよ。サラリーマンやってるのよ。白衣も似合う、良い板前さんだったのにねぇ。でも、今後もご贔屓にお願いします」ふぇ~っ!それは、悲しい。山本さんあってのこの店だったのに。うぅ~ん、困った。また馴染みになるまで、何度か通うのかぁ。・・・買物を終えて、店の外へ出ると雨。イルミネーションも寒々しく、それでも、だからこそ、とびきりに美しい。「新しいお寿司やさん、探す?」「まだ何度か行ってみてからだけどなぁ」「山本さん、会社勤めなんだねぇ」お気楽夫婦のテンションも今ひとつ上がらない。山本さん、新しい仕事も頑張って欲しいし、人の人生いろいろだけど、良い板さんだったのになぁ・・・。帰ってきてくれないかなぁ・・・。

味は人「たん熊北店」再々訪

Photo_9この店の魅力は、季節の味。春に初めて訪れた時には、<アイナメの木の芽和え>、初夏に再訪した際には<保津川の天然鮎>、などを美味しくいただいた。そして今回、冬の味と言えば<ふぐ>っ!友人夫妻は<ふぐの唐揚>、お気楽夫婦は<焼きふぐ>をオーダー。4人で並んでカウンタに座り、二組がそれぞれ好き勝手に好きなものを注文。隣りあわせで座るお気楽妻と、友人(妻)とが、絶妙な連携。それぞれの皿を、ちょっとづつ味見。「旨いっすねぇ」友人(夫)も、ようやく買物の呪縛から解き放たれ、目の前の美味に集中している。

そして、何と言ってもこの店の一番の魅力は“人”。“気配りの人”店長の本城さんはもちろん、オープンキッチンで立ち働くスタッフや、フロアの女性たち、入口の案内係(京都弁が良い味)の方まで、見ているこちらが気持良くなる程、小気味良く動き回る。そして、その統率を取るのは、やはり本城さん。一見似つかわしくないインカムを付け、板場やフロア、お客さんのちょっとした動きやメッセージを感じ取り、すばやく指示を出し、自分自身が動く。客と接する際の優しい笑顔や、柔らかなことばが、一瞬変化する。インカムを通じて的確なことばと共に良い緊張感がスタッフに伝わる。

Dvc00029_1それに加えて、今回は、花板さん(名前はまだ読み取れず)に優しくお相手していただいた。友人(妻)の天然な発言に、さりげなく反応し笑い返していただいたり、自然に会話の中に入っていただいたり。さらに、「写真撮って良いですか?」という無謀なお願いに「緊張しますねぇ」と言いながら、桂剥きのコツを伝授していただく。「うぅ~ん、でも今後、実践するチャンスは一生来ないかもしれないなぁ」料理をする気などほとんどないお気楽妻が呟く。(一生ないんかいっ!)・・・楽しく食べる内に、友人夫妻にはメインの<丸鍋(すっぽん)>が、お気楽夫婦には<鮨>が供される。そう、この店には寿司カウンタも併設されており、前から気になっていたのだ。

「美味し~いっ♪」妻×2が、同じタイミングで肯き合う。笑顔が零れる。特にお気楽妻は、大好きな新宿の「鮨源」が改装中で、“寿司絶ち”を強いられているため、喜びも大きいらしい。さらにはデザートを食べ、満足感を持ち帰る二組の夫婦。本城さんが出口まで送ってくれた。恐縮至極。僅か3度の訪問なのに、すっかり常連気分。帰りのタクシーの中で、友人夫妻が声を揃える。「美味しかったぁ。でも、何より、本城達也おそるべしっ!凄いねぇ、あの人」そう、お店は味だけではなく、それ以上に“人”。決して敷居の低い店ではないのに、一度訪問すると居心地の良さに、また来たくなる。「季節、季節に来たいお店だよね」妻のことばに皆が頷いた。本城さん、また伺います。

中華でお祝い「14回目のハピィ・バァスデー」

P1_7新宿のデパートがたいへんなことになっている。都営13号線の開通を睨んで、トップの伊勢丹や、追い上げる高島屋などが一斉に改装に入っている。買物する店を(混んでいる)伊勢丹から(空いている)高島屋に乗り換えたお気楽夫婦は、デパ地下を全面改装するという高島屋に期待している。食料品だけは伊勢丹に敵わなかったからなぁ…。楽しみ。

ところが、その余波が思わぬところにやってきた。爽やかな気候、食欲の秋、どうしても美味しい寿司を食べたくなった食いしん坊夫婦。妻の誕生日も近いこともあって「うぁ~いっ!じゃあ、誕生日は「鮨源」だぁ!」という約束になっていた。前日にいざ予約!ところが電話が通じない。あれ?家に帰ってHPを確認すると、改装のためレストランフロア全面改装!困った。気分はすっかり鮨源だったのに。では気持を切り替えて、何を食べようか。秋と言えば…“上海蟹”♪これだぁ!中華の名店、中国飯店系列「富麗花」で、絶品の上海蟹を食べた記憶が蘇る。さっそく六本木の中国飯店に電話。予約もOK。

P1_6会社帰りに六本木の街をのんびり歩き、店に向かう。遅れ気味の妻からはタクシーで向かったとのメール。ほぼ同時に店に到着。あぁ♪上海蟹、これを食べなくては、秋がやってこぉない♪思わず上海郊外の街、周荘に古来から伝わる“上海蟹の唄”を口ずさむ。(そんな唄はない)オーダーしたのは、清抄蟹粉(蟹味噌炒め花巻添、蟹小籠(蟹味噌入り小籠包)。やはり“蒸し蟹”も美味しいけど、蟹味噌のねっとり濃厚な味を楽しみたい。「くぅ~っ!美味しいねぇ♪」小籠包好きの妻の笑みが零れる。蓮華ですくった小籠包に千切生姜を載せて、小さく齧り、スープをちゅっと吸う。香り豊かな蟹味噌の味がたまらん!そして、熱々を一気に頬張る。旨いっ!

P1_5続いて、蟹味噌炒め。「幸せになる味だねぇ…」細い蟹足を自分で剥いて食べるのも良いけど、手を汚さず、たっぷりの身と味噌が満喫できる。濃厚な味噌が舌に、喉に、鼻腔に絡み付く。中国飯店自慢の紹興酒とも合う合う。美味しいマリアージュを堪能する、二人で一緒に迎える14回目の妻の誕生日。形に残るものを贈るのではなく、こうして記憶に残るお祝いをしてきた。「夜景でも観に行こうか?」「良いねぇ」そうして、渋谷のお気に入りバー「ベロビスト」に向かう浪費家夫婦。窓際の席でのんびり新宿のスカイ・スクレパーを眺める。泡の出る透明なお酒で、改めてお祝いの乾杯。「しっかし、これで私にブランド志向の物欲があったら、たいへんだよねぇ」…全くである。

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SINCE 1.May 2005