憧れのバニー「PLAYBOY」

DSCPLAYBOY発売日、授業が終るとすぐに本屋に飛び込んだ。お目当ての雑誌は平積みしてあった。黒い表紙に蝶タイの白いウサギの横顔。「PLAYBOY」という金文字のロゴが眩しい。中味も見ずに、一番上を避け、誰も立ち読みしていないだろう上から2冊目を手に取る。(小っちぇっ!)レジに向かい、どきどきしながらその雑誌を手渡す。おばちゃんが制服姿の私を一瞥する。ま、良いかね、という感じで私の差し出した千円札を受け取る。「やったぁ!」

待ちに待った創刊号だった。田舎町の高校生の私にとって、東京は遠く、アメリカに至っては自分が訪れる場所として“想定外”の遠い国だった。中学時代に英語の先生から「リーダーズ・ダイジェスト」のバックナンバーを大量にもらった。本国版の記事の直訳的な記事が気に入り、貪り読んだ。日本の雑誌と違う、乾いた大人の香りがした。田舎の少年が初めて触れた直輸入のアメリカの文化だった。

そして、「PLAYBOY」の創刊。各ページの高いクオリティにくらくらした。全てがぴかぴかだった。斬新な写真の使い方、レイアウト、デザイン、イラストにわくわくした。センター後半に記事が飛ぶページ・ネーションが独特だった。ロング・インタビューが新鮮だった。もちろんヌード・グラビアのページは眺めるだけで卒倒しそうだった。・・・こんな完璧なスタイルの女性がこの世に存在するんだぁ?。・・・初心(うぶ)だった。

創刊号で打ちのめされた後、愛読者となった。バニーの横顔を基本にした表紙自体も楽しみだった。開高健の「オーパ!」、生島治郎翻訳の「ザ・ファイト」などの読み物も楽しみなビジュアル誌だった。その「PLAYBOY」が創刊30周年だという。・・・30年、いつの間にかアメリカは近くなり、「PLAYBOY」は手にとることもなくなり、遠くなってしまった。そして、この記念号。久しぶりに、やられた!中味も見ず、平積みの上から2冊目を手に取り、レジのお姉さんに渡す、相変わらず“小っちぇ”私だった。

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