探し物は何ですか?「指輪物語」

P1010324友人夫妻と下北沢で芝居を観た帰り、余韻に浸りながら「都夏(つげ)」という店で一杯。と言っても友人夫妻は一滴も飲めず、妻も味見程度。酒を飲まない友人夫妻だけでは入りにくいということもあり、4人で訪れる店は“飲み屋”が多い。その日の店も人気の老舗、酒の肴が旨い居酒屋。酒が飲めなくても美味しいものは美味しいと言い張る3人。美味しい酒と、美味しい料理の出会い(マリアージュ)こそが、美味探求の醍醐味だと思うが、飲めないものは仕方ない。独りで(たっぷり)飲む。

2軒目、ヴェトナム料理の店「コム・フォー」へ。ここもお気に入りの1軒。料理も美味しいこじゃれた店。遅い時間にはコーヒーも飲めるバーとして利用している。そして、そろそろ終電という時間にその事件は起きた。店を出て駅に向かう道筋で妻が突然立ちすくむ。「あ、指輪がない!どこかで落としたかなぁ?」「え!どんな指輪?」「今日はこのピアスに合わせた指輪だから・・・」珍しく動揺を隠せない妻。「途中で落とした?店かな?」心配する友人夫妻。「分かった。じゃあ、二人は先に帰って!一緒に探して帰るから」「うん、分かった。後で連絡して!」

1軒目の店へ、人波に逆らい、懸命に路上を見ながら指輪を探し歩く。壊れたおもちゃの指輪、10円硬貨、今は珍しくなったプルリング、夜の街には実にいろんなものが落ちている。「また10円発見!これを資金に買い直そうか?」冗談も今は通じない。店に到着。事情を説明するとスタッフも一緒に捜索してくれるが発見できず。「見つかったらお電話します」とまで言ってくれた。2軒目も同様。良い店、良いスタッフ。でも諦めるしかない。何とか間に合った終電で気落ちした妻に声を掛ける。「また買おうよ。同じデザインは悔しいから嫌だろうけど」「・・・うん、ありがと」やはり元気がない。

家に戻って(念のためと思い)妻に尋ねる。「どんなやつだっけ?ルジアダの指輪だよね?」(万が一のために)妻のジュエリーボックスを覗く。「うん、グレーと白い石のやつ」・・・ん?妻の言述に似た指輪が。あれ?なぜ?「ねぇ?これじゃなくって?」「えっ?そう!何でここにあるの?」「何でって、して行かなかったんだろうねぇ」「あちゃ~!」「あちゃー、じゃなくって、心配してるだろうから、すぐにメール送りな!」

『心配掛けました。指輪はありました!』すぐに友人から返信。『良かったね。でも、どこにあったの?』再度、妻から返信。『家にあった!やっちまいました・・・』友人から返信。『え?家にあったって?どういうこと?』・・・そういうことでした。

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