料理と人の間には相性もあるが、美味しい店の料理には中毒性がある。食べている最中に、また次も来なきゃと思ってしまう店。小田急線の経堂駅からほど近い、四川料理の店「蜀彩(しょくさい)」もそんな店だった。初めて訪れて食べた夫妻肺片、雲白肉など、いかにも辛そうな面構えの料理は、ラー油や唐辛子の辣、花椒の麻味という痺れる辛さ、食材の旨さが一 気に口の中に溢れる悶絶系の料理。辛さだけではなく、肉の旨味に甘みさえ感じる料理の数々にハマった。辛旨の深い味わいが舌と脳中枢に刻み込まれた。舌に辛旨の後味がからみつく。美味の記憶が断続的に蘇る。いかんっ!どうしてもまた食べたい。我慢できんっ!と2日後に再訪。すっかりお気に入りの1軒となった。
【IGA“快楽主義”宣言より】
■「街の引力、店の魅力」 2012年3月25日