入り難い店である。ビルの地下、JAZZの店と来たら頑固そうで機嫌悪そうなオヤヂがやっていそうな店をイメージする。真相は分からないが、ほぼその通り。最初は席に着いても落着かない。客はいないことが多い。居心地の悪さはそれが理由でもある。JBLのスピーカー、昔ながらの喫茶店の佇まい、空気がやや重い。けれど、そんな空気にも慣れ、ふぅと溜息をつく頃には落着いて来る。慣れてみたら悪くない雰囲気。奥さまの手作りであろうキッチュな小物などに目をやり、微笑んでしまう。

メニューは伝統的な喫茶店メニュー。味も。ここで味わうべきは、料理ではなく、空間であり、音。大勢でわいわいとランチを楽しむ店ではないかもしれない。文庫本を抱えて店に向かい、食べたら黙して本を読みながら流れる音楽を聴く。そんな使い方をすべき店なのだろう。

■快楽主義宣言より　「GOOD BYE !青山 　独りメシ、おススメの店」　2009年10月31日

自由が丘に2店舗。自由が丘南口の緑道に沿ってテラスがあるこの店がおススメ。開店前に奥さまたちが列を成す人気店。気候の良い時期ならそのテラス席で、路を歩くオシャレな人々を眺めながらのんびりとランチ！などという風景はゼータクそのもの。そして、この店で食べるべきはスペアリブ。柔らかくほろほろと、その上ジューシーで、確かに間違いなく旨い。けれど、ヴォリューム満点。さらに名物のアップルパイの上にアイスクリームを乗せたアップルパイ・ア・ラ・モードを完食する麗しの自由が丘マダムたち。恐るべし。

お気楽夫婦が友人たちを連れて食事に行く際には、「美味しい！」と言ってもらえるであろう店を選ぶ。まぁ、当然だろう。自分たちが気に入っていて、人に薦めても大丈夫な店。そのカテゴリからは微妙にはみ出る店が、この店。2人共大好きなのだ。香港麺、あの輪ゴムのような歯応え。けれど、好き嫌いがはっきり分かれるだろうなぁ。美味しいんだよ、ホント。香港B級グルメの王道、海老ワンタン麺。プリプリした海老が実に美味しい。香港的なゆるめな接客。これがまた現地の味に近づく調味料となる。…でも、好き嫌いは分かれるだろうなぁ（笑）

【快楽主義宣言より】

■「30min.でHongKong！」　2010年2月11日